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田中瑛津子
〔キーワード〕興味,ポジティブ感情,日常関連価値,理科教育,適性処遇交互作用
中学2年生を対象にした授業場面において,興味の二つの側面であるポジティブ感情と価値の認知に着目し,興味の深化を促すための介入の効果を検討した。本研究では理科の授業を扱うことから,価値の中でも,「学習内容は日常生活と関連がある」という認識である日常関連価値の認知に焦点を当てた。実験1では,授業の導入時に意外な結果が生じる実験を提示してポジティブ感情を喚起し,「これから学ぶ内容を理解すれば結果を説明できるようになる」と具体的な達成目標を示して積極的授業参加を促進した。すると,日常関連価値の一般化強調の効果が引き出されることが示された。実験2では,日常関連価値への介入には,生徒の意味理解志向による調整効果があることが示された。すなわち,日常例の提示と日常関連価値の一般化の強調だけでは意味理解志向の低い生徒には不十分であることが示された。日常場面の問題を自分で解き説明する活動を加えることで,意味理解志向の高低に関わりなく,日常関連価値の認知が効果的に高まることが示唆された。

小石川秀一
〔キーワード〕教員養成課程,理科教育,認識の転換,小学校教員志望学生,光合成学習
小学校教員養成課程で行われる教育により、理科教育に対する学生の認識はいかに変化するのか。本実践では、光合成学習を例にこの問題を検討した。まず、理科指導法を受講する小学校教員志望学生を対象に、光合成に関する認識調査を実施した。その結果、「光合成するのは葉」という事実は知っているものの、個別的な知識に基づく判断が中心であり、小学校での体験以上の認識が育っていないことが伺われた。体験的な学習の積み重ねをする小学校の教育は、その後の学習体験において相当に重要な役割を果たすが、それを乗り越える認識の形成はなされていないようであった。そこで、ヨウソ反応実験などを通じて、光合成=葉という認識を超えることを目標とする授業プランを作成・実践し、光合成に関する認識を広げていくことを目ざした。授業後の感想文の分析から、学生たちの光合成に関する知識が広がっただけでなく、理科および理科教育に関する認識の転換が生じたことが伺えた。学生が形成している認識の実態を把握するとともに、それを転換していくような教育をおこなうことが教員養成課程において大切である。