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蛯名正司
〔キーワード〕角度,不適切属性への着目,重ね合わせ,測定,算数困難の小学4年生
本稿は,算数の学習に困難を抱える小学4年生の男児を対象として実施した,角度の教授活動に関する実践報告である。対象児は,学校では角度を学習済みであったが,角度の大きさを比較する際に,不適切属性に着目する誤りがあった。そこで,1回目の教授活動では,不適切属性への着目を抑制するために,まず図形の重ね合わせ活動を行い,次に分度器を使った角度の測定活動を実施した。その結果,対象児は図形の重ね合わせ活動で直線と直線の重なりに注目することができず,さらに分度器で測定しない場合は角度の大小比較を正しく行うことができなかった。そこで2回目の教授活動では,活動の順序を入れ替え,まず分度器で角度の測定を行い,次に扇形の重ね合わせ活動を行った。その結果,扇形の重ね合わせ活動では,未測の角度であっても,重ね合わせによって角度が同じであることを判断できるようになった。このことから本稿の対象児にとっては,「測定を優先した角度の指導」の方が有効であることが示唆された。以上の結果を踏まえ,本稿で実施した「測定を優先した角度の指導」と,いわゆる「測定の四段階指導」に基づいた従来の角度の指導の有効性の範囲について論じた。