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渡邉大輔
〔キーワード〕高校化学教育,炭素化合物の化学,教育内容,原油の精製,熱分解
本論は,高校化学教育における炭化水素基と官能基の区別に関して,従来の教育内容の問題点を指摘し,新たな教育内容の骨子とその論理的骨格を提示することを目的としている。そのためにまず,自然の累層性に関する田中一の議論に着目し,変化しにくい部分と変化しやすい部分の区別を,熱分解技術による原油精製物によって行う根拠を明らかする。次に,精製という行為の意味も含めて指導の内容としなければならないとの立場から,原油の精製に関する技術史的分析を行う。ここでは原油精製の動機を「不安定な品質の認識を媒介とする品質の安定性への要求」と理解し,「厄介物から有用物を作り出す」という行為に精製の意味を見出す。その上で「材料としては役に立たないものが化学変化によって,天然には存在しない新しい性質を備えた材料になり,変化するがゆえに役立つもの,別な物質になるからこそ役立つもの,それが物質(化学的物質)substanceである」との見地を教育内容構成の基本的視点として設定し,教育内容の全体構造を統一することを試みる。以上の検討をふまえ,教育内容の骨子とその論理的骨格を具体的に提示する。