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伏見陽児,立木徹
〔キーワード〕数学的証明,ピタゴラスの定理,美しさ評定
本研究はピタゴラスの定理の証明法を複数提示することが,その証明法の美しさ評定にいかに影響するかを検討したものである。研究は実験1と実験2よりなり,両実験は各々2つのセッションからなっていた。1つはピタゴラスの定理の証明法についての講義,1つは当該証明法の美しさ評定であった。実験1の複数群には,一般に共に美しいと評価されている2つの証明法(AとB)が用いられた。単一群には,複数群に提示された証明法の1つ(B)が用いられた。その結果,同じ証明法Bであっても美しさ評定が異なり,複数群の方が単一群よりも高く評定した。実験2の手続きは実験1と同じであったが取り上げられた証明法が異なった。複数群には,一般に美しいと評価される証明法Bと,美しいとは評価されない証明法Cの2つが用いられた。単一群には,複数群に提示された証明法のうち,一般に美しいとは評価されない証明法Cの1つが用いられた。その結果,同じ証明法Cであっても美しさ評定が異なり,複数群の方が単一群よりも低く評定した。証明法の複数提示の効果は,用いる証明法の組合せによって異なることが明らかとなった。