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岡田いずみ,麻柄啓一
〔キーワード〕公式理解,操作,小中学生
麻柄(2009)は,問題に数値が記されていない場合に公式を用いることができない小学5,6年生が多いことを面積公式に即して明らかにした。これは公式の変数間の関係に着目して答の大小を導くこと(操作)ができない者が多いことを意味する。本研究は,①操作ができない学習者がどの程度いるかを問題の種類と学年を拡張して調査し,②操作ができない学習者に対して,それを可能にするように援助してその効果を検討した。研究では小5(32名)と中1(67名)を対象に,面積公式と代数の式について操作の成否を調査した結果,小中学生ともに正答率は低かった。そこで研究Ⅱでは事例研究として中2(2名)を対象に,任意の数値を代入して求めた答えと操作の結果が同じになることを手がかりとした介入を行ったが,学習者は操作を行えるようにならなかった。原因として学習者の実感や納得が伴わなかった可能性が考えられた。研究Ⅲでは中2(31名)を対象に,操作のプロセスや結果が妥当であることを実体的に確認できるように工夫した介入を行った。その結果,操作が可能となった者が大幅に増加し,この方法が効果的なことが示唆された。

麻柄啓一,進藤聡彦
〔キーワード〕 操作,読解,誤認識,歴史学習,大学生
本研究では「徳川幕府は全国の大名から年貢を取っていた」という誤った認識 (麻柄,1993)を取り上げる。高校の教科書では, 例外として一定期間「上げ米 (大名がその石高の1%を徳川家に差し出す) 」が行われたことが記述されている。ここで, 「○○の期間には××が行われた 」 (命題a) に接したとき,これを「○○ 以外の期 間には××は行われなかった」という形(命題b)に論理変換できれば,先の誤りは修正される可能性がある。実験1では大学生62名を対象にこの関連を検討したところ, 年貢の行方を問う問題 (標的問題) での正答者は誤答者より, 命題の変換に優れている傾向が示唆された。実験2では大学生34名を対象に, 論理変換を援助することにより誤った認識の修正が図られるか否かを検討した。その結果, 援助が誤った認識の修正を促進する効果をもつことが確かめられた。知識表象を変形することは操作と呼ばれるが (工藤,2010),上記の論理変換も操作の1つであり,操作の成否が誤った認識の修正に関わることを示すものとなった。