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吉國秀人,山内敏男 ,前田浩伸
〔キーワード〕参勤交代,児童,認識,巻物教材,授業
本研究の目的は,江戸時代の政治の仕組みのひとつとして参勤交代という制度を捉え直し,1.参勤交代に関する児童の認識の実態を明らかにすること,2.江戸時代の大名行列を描いた巻物教材の提示と予想活動を取り入れた授業が児童の認識に及ぼす影響について示唆を得ることである。
2つの小学校で6年生を対象に行われた授業実践が検討された。巻物教材を提示したいずれの実践においても,「大名行列内には,行列のリーダーとしての大名が,ひとり存在していること」の認識は,児童にとって必ずしも自明のことではないことが示された。さらに,大名がひとりだけであるという事実を教示すだけでは不十分であり,大名行列全体を俯瞰的視点から捉え,大名行列を立派に見せようと工夫したのはどうしてかを問える手がかりを得ることの重要性が論じられた。
最後に,教育心理学研究という位置づけから言語陰蔽効果との関わりが考察され,また実践研究という位置づけからは,幕藩体制についての知識が教師(第一著者)に不足しているという課題が指摘された。

作間慎一
〔キーワード〕文学作品,アスペクトの転換,発見,『鹿』,児童
文学作品について学習者が当初にもったアスペクトが新しいアスペクトに転換することを学習目標に設定する意義と,その実現のための指導法について検討した実践研究である。詩『鹿』(村野四郎)に当初のアスペクトをもった小学6年生に対して,新しいアスペクトに関わる,詩句の意味と枠組みを提供した上で,未教示の語句の新たな意味の発見を働きかける指導を2授業時間行った。授業において一部の詩句の新たな意味を発見できたことと,授業後の感想では新しいアスペクトを得たと思われる記述が多数みられたこと,本詩や詩を学ぶおもしろさがあったとの記述が少なくなかったことなどの結果を得ることができた。今回,目標の達成と指導の適切さを検討するためのデータ収集の不十分さがあったが,文学作品の指導においてアスペクトの転換を目標にしたことの意義と,その指導法として作品理解に関わる枠組みの提示と,それによる詩句の意味の発見を働きかける効果について一応明らかにすることができたと思われる。