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高垣マユミ,田爪宏二,中島朋紀,丸野俊一
〔キーワード〕二面的開示の分析,授業コミュニケーション,意図されざるカリキュラム,教師の役割の多様性,交流的関係性
本研究の目的は,小学4年国語科の一斉授業において,従来見過ごされてきた,教師の意図したカリキュラムから逸脱した教授・学習活動に焦点を当て,その談話過程における教師と子どもの授業コミュニケーションの言葉や行為の背後では,いかなる心理的なやりとりが立ち現れているのかを,探索的に検討することである。教師の内観報告を踏まえながら,「二面的開示分析」に依拠したカテゴリー分析及び事例分析によって,教師と子どもの発話の逐語的・表層的内容ではなく,意味的内容を再生した結果,以下のことが実証的に明らかにされた。1)教師の意図せざるカリキュラム(unintended curriculum)における,教師と子どもの主体的側面における「認識レベル(表層的,論理的,感性的レベル)」の齟齬は,教師の振る舞う多様な役割に伴って変容することが明らかになった。2)教師の意図されざるカリキュラムにおいて,相互に依存し合っている「教師-子ども-カリキュラム」の関係性が,動的,相補的かつ一体的に変化した場合,「interaction(相互的関係性)」から「transaction(交流的関係性)」への転換が生み出される可能性が示唆された。