コンテンツへスキップ

伊藤桂文,岡田いずみ
〔キーワード〕操作水準,関係操作,数値操作,中学生
学習者が学ぶ知識は,必要な場面で適切に使用されることが重要であるが,そうでない場合も多くあるのが現状であろう。工藤(2003,2005)は,知識を適切に利用できるか否かには「操作水準」の高さが関係することを指摘した。本研究は操作水準を高めるための介入を行い,課題解決を促進しようとするものである。標的問題は「面積を○㎝2の長方形をコピー機でk倍に拡大すると面積は何㎝2になるか」という問題を用いた。この問題については図形をk倍に拡大するとその面積もk倍になると誤ってしまうことが指摘されている。介入は中学生を対象に3群を設定した。①関係操作に加えて作図を行う群,②関係操作を行う群,③数値操作を行う群であった。関係操作とは変数間の関係を考える操作、数値操作とは数値を代入して答えを求める操作である。介入前後の操作水準得点を比較したところ,①群と②群の操作水準が高まっていた。関係操作の練習を行うことが操作水準を高めたと言える。また,標的問題の正答数は,①群で正答者数が有意に増えていた。関係操作の練習に加えて,その内容を学習者が確認できるようにすることで課題解決が促進されることが示唆された。

伊藤達彦
〔キーワード〕時差,教材の開発,授業,中学生
「時差」は中学1年の社会科で扱われる内容である。しかし著者の予備的研究では,大学生でも時差に関する問題を解決できない者が多いことが示されている。本研究は,中学生が時差について理解できるような教材を開発し,実際に授業を行うことでその効果を検討した。開発された教材は,①地球の自転に伴う昼夜のでき方の知識と結びつける,②北極を中心にして地球を俯瞰的に捉えた図を用いる,③その略図を描いて時差を考えるという方略を教える,④日付変更線を「時刻の先頭」と意味づける,⑤課題配列を工夫する,などの特徴を持っていた。この教材を用いて13名の中学生に対して90分間の授業を行った。時差に関する事前テストの正答率は約20%であったが,授業1週間後に実施した把持テストでは約90%に上昇した。また生徒がこの授業を面白く理解しやすいものと受け止めたことが,授業後のアンケートならびに感想から示された。