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立木徹,伏見陽児
〔キーワード〕誤概念,論理変換操作,ルール
学習者が学習内容に関して誤概念を有しており,それが学習成果に大きく影響を及ぼすことは,今や常識と呼べるまでになっている。これまで学習者の誤概念を修正するためにさまぎまな教授方略の有効性が検討されてきた。そこでの効果はおもにテスト得点の伸びという測度で評価されている。本研究の目的は,それらの実験においてテスト得点の伸びを抑制していたのは,誤概念に対する学習者のこだわりだけではなく,彼らの論理変換操作の不十分さもあったのではないかという問題を検討することにあった。「金属ならば電気を通す」というルールを取り上げ,大学生を対象に実験を行った。その結果,(1)教材文の記述内容〈ルール)から論理変換する操作を適切にはできない大学生が少なからず存在すること,(2)事後テスト得点には,誤概念に対するこだわりよりも,読み物内容からの論理変換操作の不十分さが強く関わっていたこと,等が示された。テスト得点を従属変数として実験を行い,学習者の誤概念に学習成果抑制の原因を帰属させていた研究結果についても,学習者の論理変換操作の不十分さという観点も考慮した再分析を行う必要があることが指摘された。

吉國秀人,生田国一
〔キーワード〕三態変化,ルール,教授活動,小学生,誤認識
本研究では,「物質が三態変化する(個体⇔液体⇔気体)」というルールの学習場面を取り上げた。本研究の仮説は,仮説1「授業前の小学生においては,物質の状態変化に関する誤認識が認められるだろう」,仮説2「水以外の物質を含めて三態変化を教授することにより,状態変化に関する誤認識が修正されるだろう」であった。これらの仮説を検証するために,小学4年生32名を対象に,事前調査,教授活動・事後調査が実施された。その結果,以下のような結果が得られた。(1)事前調査時には「加熱しても液体にも気体にも変化しない」などの誤認識を有していた。(2)「加熱すれば液体へ変化し,さらに強く加熱すれば気体へと状態は変化する」という認識へ,誤認識が修正された。(3)水の三態に関する理解も十分なされた。(4)全体の54%の者が,ルール「物は三態変化する」を一貫して適用できるようになり「ルール理解者」とみなされた。これらの結果から,仮説1ののみが支持され,「気体への変化」に関するプラン改善の必要性が考察された。