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作間慎一
〔キーワード〕 文学作品,謎解き読み,読解指導,『お手紙』,アスぺクトの転換
文学作品の理解は一般に困難である。文学作品の謎解き読みは,読者が矛盾や違和を抱く記述(謎)に作品理解の手がかりがあると考え,それらの合理的な解釈を試みることによって,すぐには気づくことのできない作品理解(アスぺクトの転換)を得させるものである。読者がおかしさを感じる記述がいくつかある『お手紙』を教材として,小学4年生にそれらの謎解き読みを促す授業を行ってみた。その結果,児童は本作品の主題を「思いやりの大切さ」と当初からとらえていたが,登場人物のいくつかの行動におかしいことがあると感じていた。そこで,そうした登場人物の行動の理由についての解釈を新たに求めたところ,児童から自発的に出された解釈の ほとんどが思いやりの枠組みによるものであった。今回の謎解き授業では, 当初の主題理解をさらに強めることになり,本作品の謎解き読みによるアスぺクトの転換が難しいことが示された。ただし, 授業者が「手紙のよさ」という枠組みでの謎の解釈を提示したことによって,一部の児童ではあるが,その解釈への転換の可能性を見ることができた。

作間慎一
〔キーワード〕文学作品,アスペクトの転換,発見,『鹿』,児童
文学作品について学習者が当初にもったアスペクトが新しいアスペクトに転換することを学習目標に設定する意義と,その実現のための指導法について検討した実践研究である。詩『鹿』(村野四郎)に当初のアスペクトをもった小学6年生に対して,新しいアスペクトに関わる,詩句の意味と枠組みを提供した上で,未教示の語句の新たな意味の発見を働きかける指導を2授業時間行った。授業において一部の詩句の新たな意味を発見できたことと,授業後の感想では新しいアスペクトを得たと思われる記述が多数みられたこと,本詩や詩を学ぶおもしろさがあったとの記述が少なくなかったことなどの結果を得ることができた。今回,目標の達成と指導の適切さを検討するためのデータ収集の不十分さがあったが,文学作品の指導においてアスペクトの転換を目標にしたことの意義と,その指導法として作品理解に関わる枠組みの提示と,それによる詩句の意味の発見を働きかける効果について一応明らかにすることができたと思われる。