コンテンツへスキップ

「事例にもとづく帰納学習」だけで事例効果を説明できるのか?―工藤(2003)の研究の批判的検討―

伏見陽児
〔キーワード〕ルール学習,事例効果
工藤(2003)は,学習ルールの説明に用いられる事例によって学習成果が異なるという現象(事例効果)の新たな説明を検討し,多くの学習者が教材からルールを抽出できないという事実から,事例効果が「事例にもとづく帰納学習」によって説明できることを示した。本研究は工藤(2003)の研究において残された問題を検討する目的で行ったものである。学習者は,サクランボ事例もしくはスギ事例を使って,「どんな花の花粉でも,身体に入れば入るほど花粉症が引き起こされやすくなる」という花粉症のルールを明示的に教えられた。実験の結果,学習者がルールを抽出できなかった場合だけでなく,ルールを抽出できた場合でも「事例効果」が生じた。事例効果は,「事例にもとづく帰納学習」だけでは説明のつかないことが明らかとなった。